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■ヤングケアラーに関する実態調査からみえた、食事準備など家事負担の大きさ
家庭で、両親や祖父母、きょうだいの世話や介護、感情面のサポートなどをしている18歳以下の「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたち。その数は全国の中学生のおよそ17人に1人に上るといわれていますが(*1)、「自分がやるのは当たり前」という意識があったり、家庭のデリケートな話題であるため相談しづらい状況があったりと、問題が表出しづらいことが課題のひとつといわれています。
今年3月に発表された株式会社日本総合研究所の実態調査(*2)によると、ヤングケアラーが担うケアの頻度は「ほぼ毎日」が半数以上。その内訳を見ると、日々ケアにあてる時間の中で、ケアが必要な家族の「見守り」をする時間に次いで、食事準備など「家事」に使う時間が長い、ということが明らかになりました。また、ケアの大変さについて聞く質問で「時間の余裕がないこと」に大変さを感じていると答えた子どもは、食事準備など「家事」に特に大変さを感じていることがわかりました。
自分の時間の多くを家族のケアや家事に費やすことで、進路選択や学びの機会をあきらめてしまったり、自分らしく過ごす時間や友達と過ごす時間がなくなってしまったり、体調を崩してしまったりする場合もあり、教育や福祉といった様々な観点から、ヤングケアラーとその家庭へのサポートが必要とされています。
(*1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和3年、3月)
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf
(*2)株式会社日本総合研究所「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和4年、3月)
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13332.pdf
■ヤングケアラーとその家族の支援の手応えと、見えてきた”物理的な支援”の必要性
カタリバは2021年12月から、ヤングケアラーとその家族向けのオンライン伴走型支援に取り組んでいます。子どもと保護者双方へのオンライン定期面談のほか、専門家によるオンライン相談窓口の設置、ヤングケアラー同士がお互いに語り合ったり相談しあったりする「ピアサポート」の場の企画などをおこなっています。
▼キッカケプログラム for ヤングケアラー
https://kikkake.katariba.online/yc
取り組みが本格的にスタートしてから約20家庭と関わる中で、少しずつ手応えも感じています。例えば、ヤングケアラー同士の交流会で心理的安全性が保たれた環境の中で当事者同士や先輩たちと同じ立場から語り合える場を創出することで、「同じようにケアを担っていた先輩の人生を聞いて参考になった」「自分だけではないと感じて少し気持ちが軽くなった」など、子どもたちからポジティブな声も届き始めました。
しかしその一方で、オンラインの場を出て彼らが実際の家庭に戻った時に直面する、物理的負担そのものは変えることができない状況を実感することも多くありました。心理的負担も物理的負担も減らしながら、彼らが自分の時間を持ち、学びの機会や進路選択をあきらめずにいられる環境を築くにはどんな支援が必要かという、新たなテーマが見えてきています。
■「少しでもそれぞれが自分の時間を取れたら」。食事宅配で、新しい角度から支援の可能性を模索
前述の調査の中でも”大変さ”を感じる理由として挙げられていた食事準備などの「家事」の時間に着目し、それにかかる家庭全体の物理的負担を少しでも軽減して自分たちの時間に使えるよう、カタリバはこの6月から食事宅配プロジェクトをスタートしました。対象者へ本プロジェクトについて案内すると翌日には数十件の申込があるなど、早速、食事支援に対するニーズが見えてきています。
▼申込者アンケートの声(保護者)
・自分の病気で入院が迫ってきているが、自分が入院している間は子どもが祖母の介護や家事を担う。お米を炊くことはできても調理が難しいため、どうしようか悩んでいた
・自分に病気があり、子どもには発達特性がある。お互いが常にケアしあっている状況で、少しでもそれぞれが自分の時間を取れたらありがたい
・ひとり親で仕事をしながら持病で頻繁に通院している状態。子どもに家事をお願いすることも多く、食費も食事の準備時間も減らせるのであればありがたい
▼プロジェクト概要
・期間:6月末〜8月末の間で8週間(申込の時期に応じて個々に変動)
・対象家庭:キッカケプログラム利用者を対象として行ったアンケートで、子どもが家族のケアを担っていると回答があった約40家庭
・頻度:1週間に1回配達
・量:家族人数×3食×8週間(人数は子どもと保護者世帯の人数に限る)
・食事内容:冷凍のお弁当(メニューは都度カタリバが指定、民間企業に宅配までを発注)
・提供価格:無料
なお、本プロジェクトは、今後より本質的な支援の仕組みを築いていくための新規プロジェクトであり、今回は対象家庭と期間を限定的に設定しています。今後については、期間終了後に利用者アンケート等を行い、食事宅配がヤングケアラーとその家族の課題解決の切り口となりうるかについて考えていきます。
■認定特定非営利活動法人カタリバとは
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 :2001年11月1日
代表 :代表理事 今村久美
本部所在地:東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町・熊本県益城町)/災害緊急支援(西日本豪雨、令和元年東日本台風、熊本豪雨)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市・島根県益田市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区)
URL : https://www.katariba.or.jp/
■問い合わせ
取材に関するお問い合わせは下記フォームにご入力ください。
https://www.katariba.or.jp/report/ (担当:カタリバ広報 高木)
【出典】PR TIMES
【参考URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000060187.html