全国老施協は、新型コロナウイルス感染症に伴い、高齢者福祉施設で手掛ける必要性が生じる濃厚接触者等へのケアも含め、感染症専門医の知見を得て、解説動画を公開した。
特養等高齢者福祉施設では、入居者が新型コロナウイルス感染症陽性となった場合には、現時点の取扱いでは原則として入院することとなるが、陽性と判断がつくまでには時間がかかってしまう場合がある。
厚生労働省がこれまで提供していたのは、感染予防に特化した動画であるのに対して、全国老施協の動画は、こうした濃厚接触者等の陽性反応等が明らかになるまでの期間等には一時的にケアを行う必要性が生じるため、「感染疑いのある方」、「感染した方」がいた場合の対応の留意点が、動画に取り纏められている点で充実が図られた内容となっている。
全国老施協はこの度、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下コロナという。)感染が疑われる利用者及び濃厚接触者への対応」と題して、コロナ感染が疑われる利用者、濃厚接触者が発生した場合の対応動画を公表した。
これまで、厚生労働省から「感染予防」の観点で動画が公表されていたが、全国老施協が作成する動画は、基本的な予防対応はもとより、実際に感染疑いや濃厚接触者と判断された利用者が発生した場合の対応を表したものとなっている。
特別養護老人ホームをはじめとする高齢者福祉施設の入居者は、原則として入院となることが取扱いとして記されているものの、PCR検査を行ったあと保健所等から連絡がくるのには、検査を実施した時間にもよるが1日~数日かかる場合があり、その間に適切な対応が図られていなければ、感染が拡大してしまうリスクもある。
そのため、10分以内に閲覧が可能で、どのような対応が必要になるか事前に想定できるよう、わかりやすい動画にし、公表している。
この動画は、以下URLに公開されており、どなたでも、何度でも閲覧が可能である。
●掲載URL:全国老施協HP > 重要な情報 >
2021.01.07 全国老施協が「新型コロナ感染発生時ノウハウ動画集」をリリース
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-2&category=19325&key=21767&type=content&subkey=357557
監修は、全国老施協及び、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)「長期滞在型高齢者福祉施設における効率的な感染対策プログラムの開発」研究代表者 笹原 鉄平 氏(自治医科大学 医学部 感染免疫学講座臨床感染症学部門 講師/附属病院臨床感染症センター 感染制御部 副部長)。
また、章立ては、次のとおりとなっている。
1.「施設利用者に感染疑いが発生した場合の対応」
2.「利用者が濃厚接触者と判定された場合の日常ケア」
3.「日常ケア実施時に必ず行うこと(手洗いと個人防具の着用)」
4.「個々のケア時に留意すること(口腔ケア)」
5.「個々のケア時に留意すること(喀痰吸引)」
6. 「個々のケア時に留意すること(食事介助)」
7.「個々のケア時に留意すること(日常の機能訓練時)」
8.「新型コロナウイルス感染症の利用者の認知機能が低下している場合の対応」
9.「同施設に濃厚接触者である利用者がいる場合であって 感染はしていないが認知機能が低下している利用者への対応」
10.「感染疑いの利用者を病院へ送迎する場合」
11.「感染した利用者を救急搬送する場合」
12.「陽性者・軽症者を例外的かつ一時的にケアする際のゾーニングの方法」
全国各地域で感染拡大が広がっており、予断を許さない状況が続いているが、高齢者施設等における初動対応の参考としていただきたい。
【参考URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000047239.html